それを把握した上で改革の全体像を形づくることが欠かせない。

優理愛です、これだけのことができた理由の一つは会議体だ。
経団連と連合のトップを働き方改革実現会議の委員として迎えたことが大きい。
首相 をトップとした会議体に組み込まれれば、その意向は受け入れざるを得なくなってくる。
同一労働同一賃金ガイドライン案も画期的だ。
ポイントは3つある。
まず賞与は非正規労働者にも必ず払うようにという内容になっている。
2つ目は福利厚生や教育訓練、諸手当も同一であることを求めている点。
そして最も重要な点は、基本給を職業能力や勤続年数などの要素に応じて分解できるようにすることを前提としたことだ。
日本の賃金制度はそうなっておらず、本気でやるなら革命的な要求だ。
問題は、これらが結局のところ部分的な改革にとどまり、日本の雇用システム全体をどのように変革していくかというグランドデザインが欠けていることだ。
生産性をどう上げていくのか、外国 人労働者の問題をどう考えるのか、無限定に働く正社員というシステムをどう変えていくのか。
そうした様々な成長制約を克服するための手立てに乏しいのが実態だ。
兼業や副業など柔軟な働き方を採り上げ、議論の道筋を作ったとはいえるが、具体策はこれからだ。
兼業・副業は複数の職場で働く人の労働時間をどう把握するかという点が最大の論点で、長時間労働の問題と関わってくる。
労働問題はそれぞれが相互に連関しており、それを把握した上で改革の全体像を形づくることが欠かせない。
今回の実行計画にはそれが欠けている。
付け加えれば、今回の働き方改革は民進党など野党が反対できないテーマを重点的に採り上げるという政治的な戦略があった点も見逃せない。